「ナミヤ雑貨店の奇蹟」

 原作小説も同名の舞台も触れてない状態で鑑賞。ノスタルジーを感じさせる感動系物語という予告通りの作品だった。

 30年もの時を超えて手紙がやり取りされるSF設定がキモなんだけど、1980年という時代は一昔前というより、ノスタルジーに浸る昔懐かしい世界になってしまったんだなぁ。角張った車に丸っこい路面電車、活気溢れる商店街の喧騒。雑貨店というと1960年代を想像したけど、80年代もその名残があったよなぁ。
 本作は音楽がとても良い。山下達郎だから外れは無いんだけど、劇中での使い方がとても良い。劇中歌の良さは最近のアニメ映画みたいだ。

 あと、西田敏行の演技も良い。超ベテランに相応しい含蓄のある台詞は展開が分かっていても感動する。

 描写で気になったのは、80年代の再現が完璧で無かったところ。服装や自動車みたいな小物は頑張っても、街を引きで撮ったカットや病院の医療機器なんかはツッコミたくなる。

 ストーリーはお涙頂戴系の群像劇でしかないんだけど、西田敏行の演技や山下達郎の音楽、80年代の風景といったものが琴線に触れるとても良い佳作だと思う。