富士山を見にいったけど結局見れなかった。岳南鉄道と東海道新幹線。

 東京駅12:26。こだま655号はガラガラの状態で発車した。春のダイヤ改正直前のこのタイミングで、ある目的のために静岡県の三島を目指した。1つは冬の空気が乾燥した時期に富士山を綺麗に撮影する事。もう1つは岳南鉄道というローカル私鉄から新幹線への連絡切符がダイヤ改正で販売範囲を大幅縮小するとの事で、その切符を入手するため。おまけに岳南鉄道も乗っておこうという魂胆である。

 三島駅で新幹線から在来線に乗り換える。どこの地方に行っても、新幹線に並行する在来線は寂れ行く運命なのだけど、東海道線だけは別格だ。普通列車がバンバンくる。トイレが付いてなかったりするけど。

 吉原駅から岳南鉄道線に乗り換える。長い跨線橋を渡る感じが雰囲気があってまた良い。ホームに降り立つと、京王井の頭線のお古が2両でやってきた。


 岳南鉄道の周りには工場が多い。昔は工場からの貨物輸送があって経営的に支えられていたが、今は廃止されローカル私鉄に落ちぶれてしまった。

 工場の配管の脇をすり抜け、住宅地の庭先をゆっくりかすめながら走っていると、ほんの20分くらいで終点の岳南江尾駅に着いた。

 岳南江尾駅から30分以上歩いただろうか。富士山をバックに東海道新幹線を撮影できるスポットまでやってきた。が、見えない。富士山の山頂付近が雲ですっぽり覆われているのだ。

 なんという事だ。せっかくここまで来たのに。ほとんど快晴なのに、山の上にだけ雲がかかってるのが悔しすぎる。なんとか晴れないかと夕方まで粘ったけど、結局雲は取れなかった。

 帰りは岳南鉄道須津駅から乗った。そして、吉原駅からは本日の目的である岳南鉄道硬券連絡乗車券でJR に乗る。硬券(こうけん)といって、硬い厚紙の切符は昔々一般的だったらしいのだけど、自動改札で使えないしかさばるので、記念切符以外では絶滅した。しかし、なんと岳南鉄道で買うと、この硬券切符で新幹線に乗って東京まで行けるというのだ。まあ、それも今日までなのだが。

 やはり、若い駅員は硬券切符を知らないらしく、東京駅の改札を通るのは手こずった。