とある科学の超電磁砲 第9話・10話が面白い

空気系萌えアニメとしての超電磁砲

第1話から第4話あたりの流れは萌え系四コマ漫画原作アニメに通じる明るい話であった。女の子4人が、楽しくかしましく学園生活を満喫する。ストーリーも一話完結で物語的に薄いが、萌えと笑いで楽しませてくれる。

そんな「空気系」アニメとして超電磁砲の前半は展開していた。

シリアス展開のレベルアッパー編

しかし、第9話あたりから雰囲気が徐々に変わってゆく。能力を持たない佐天の劣等感が画面やセリフを通してひしひしと語られる。

物語が希薄化する昨今のアニメ事情

私は『けいおん!』や『らき☆すた』といった萌え系四コマ漫画アニメの人気から、アニメにおいて「物語」が語られにくくなっているのではないかという問題意識を持ってきた。ここでいう「物語」とは登場人物の人生観や観念、社会問題への風刺といった事柄をストーリー展開や登場人物の成長を通して間接的に語りかけるような話の事である。

昨今の空気系萌えアニメを見ると、「物語」はどうでも良くて、単に「キャラクター」を消費しているだけではないかと思ってしまう。それはそれで良いのだけれど、飽きてしまう。

持てる者と持たざる者

最初は萌えアニメとしてキャラの魅力が描かれていた超電磁砲も、そろそろ飽きてきたと感じた辺りからシリアス展開に突入である。
レベル0の佐天とレベル5の美琴。両者の内面が語られる事によって物語が深みを増してきた。持たざる者の劣等感に対して、持てる者はおごりを反省すれどかける言葉は無い。序盤では友達だった佐天と美琴も、今や隔たりを感じる関係である。戦いが終わった時、二人はどんな言葉を交わせるのだろうか。

バトルシーンの派手さに隠れてしまうかもしれないが「持てる者と持たざる者の物語」、これからどう語らるのか楽しみである。